電話対応では、言葉遣いが会社やサービスの印象を左右するため、正確で丁寧な日本語が求められます。しかし、普段使い慣れていない敬語や適切な表現を選ぶことが難しく、間違えやすい場面も少なくありません。
今回は、電話対応で特に間違えがちな日本語とその改善方法を解説します。

間違えがちな日本語とその改善方法

1. 「了解しました」ではなく「承知しました」を使う

「了解しました」はカジュアルな表現であり、目上の方や顧客に対して使うには不適切です。代わりに、「承知しました」「かしこまりました」を使うことで、より丁寧な印象を与えられます。

2. 「○○になります」は避ける

最近よく聞かれる「○○になります」という表現ですが、これは敬語としては間違いです。「○○です」や「○○でございます」を使うのが正しい日本語です。たとえば、「こちらの資料になります」ではなく「こちらの資料でございます」と言い換えましょう。

3. 「お名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」

「名前を頂戴する」という表現は、日本語として少し違和感があります。「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」や「お名前を教えていただけますか?」の方が自然で丁寧です。

4. 「こちらからお電話させていただきます」を正しく使う

「電話させていただきます」という表現は正しい敬語ですが、「こちらから」など冗長な表現を重ねるとわざとらしさを感じさせることがあります。シンプルに「お電話いたします」で十分な場合も多いです。

5. 丁寧すぎて曖昧になる表現を避ける

「もしよろしければ…」「可能であれば…」などの曖昧な表現は、相手を不安にさせる可能性があります。具体的かつ丁寧に「○○させていただきます」や「○○をご確認いただけますでしょうか」と伝える方が良いです。

6. 二重敬語に注意

敬語を使おうとすると、「おっしゃられる」という二重敬語を無意識に使ってしまうことがあります。正しい表現は「おっしゃる」であるため注意が必要です。

7. 「少々お待ちください」ではなく「少々お待ちいただけますか?」

「少々お待ちください」は間違いではありませんが、「少々お待ちいただけますか?」とすることで、より丁寧な印象を与えられます。状況によって、より適切な表現を選ぶことが大切です。

8. 「確認させていただきます」ではなく「確認いたします」

「確認させていただきます」は、相手の許可を得て確認するというニュアンスになるため、状況によっては不自然になります。単に「確認いたします」で十分な場面も多いので、使い分けを意識しましょう。

9. 「ご苦労様です」は目上の人には不適切

「ご苦労様です」は目上の人に対して使うべきではありません。代わりに、「お疲れ様です」を使うのが適切です。同僚や上司とのコミュニケーションにおいて、注意が必要です。

10. 「できかねます」ではなく具体的な説明を添える

「その対応はできかねます」だけでは相手に冷たく感じられる場合があります。たとえば、「申し訳ございませんが、それは規定により対応いたしかねます」や「他にご提案できる方法をご案内いたします」と補足を加えることで、丁寧かつ前向きな印象を与えられます。

11. 「大丈夫です」は曖昧に感じられる

「大丈夫です」という表現は便利ですが、状況によっては相手に曖昧さを感じさせる場合があります。「問題ありません」「承知いたしました」など、より具体的な言葉を選ぶことで誤解を防ぐことができます。

12. 「お電話をお掛けになられました」など過剰敬語

「お掛けになられました」は過剰敬語で、正確には「お電話をお掛けになりました」が正しい表現です。敬語が多くなるほどミスが増えるため、シンプルかつ適切な表現を意識しましょう。

13. 「こちらの方にお送りいたします」

「方」を添える必要はなく、「こちらにお送りいたします」で十分です。「方」は過剰表現になりがちですので注意しましょう。

14. 「お電話を差し上げます」を省略してしまう

「電話します」という表現はビジネスシーンではややカジュアルです。「お電話を差し上げます」または「ご連絡させていただきます」の方が適切です。

15. 「申し訳ございません、確認します」

謝罪と対応があいまいになりやすいこのフレーズ。「申し訳ございません。すぐに確認して対応いたします」と明確な行動を示すことで、信頼感がアップします。

16. 「○○の件について伺いたいです」

「伺いたいです」という表現は少し不自然で、「○○の件について伺いたく存じます」の方が丁寧です。特に目上の方とのやり取りでは気をつけるべきポイントです。

17. 「お手数ですが、折り返しご連絡いただけますか?」

この表現は一般的ですが、「お手数ではございますが、折り返しご連絡いただけますでしょうか?」の方がより丁寧でプロフェッショナルな印象を与えます。

18. 「恐れ入りますが、こちらから確認させていただきます」

「恐れ入りますが」と言った後に動作を付け足す際、主語や動作の明確さが欠けてしまいがちです。「恐れ入りますが、こちらから状況を確認させていただきたく存じます」のように具体性を加えるのが良いです。

19. 「弊社」と「当社」の使い分けが不十分

「弊社」はへりくだった表現であり、相手が顧客の場合に使います。一方、「当社」はより中立的で、第三者に会社を紹介する際に使うことが適切です。この使い分けが混ざりやすいので要注意です。

20. 「すみません」を使いすぎる

「すみません」は日常的ですが、ビジネスシーンでは「申し訳ございません」の方が適切で丁寧な印象を与えます。

言葉遣いの見直しが信頼感を向上させる

これらの間違えやすい日本語を意識的に見直し、実際の電話応対に活用することで、相手に対する信頼感が高まり、プロフェッショナルな印象を与えることができます。

敬語は難しいですが、一つひとつの改善が大きな違いを生むはずです。
少しずつ学びながら、スムーズでプロフェッショナルな対応を目指していきましょう。